今回は、1887年創業で、伝導機器・工業用機械部品等の卸売業を営む株式会社ヤマデン様にパルスアイの導入目的や評価・要望等をお伺いいたしました。130年以上の歴史をもつ企業が、どのようにパルスアイを活用しているか、また、運用する上での注意点などもお話していただきました。
導入の背景と目的
ヤマデンは、『製造業の課題を解決する』技術専門商社
Q. 会社概要について教えてください
ヤマデンは東京 神田で130年ビジネスを続けてきた歴史を持つ、『製造業の課題を解決する』技術専門商社です。古くは、1887年に東京神田にて山本房吉商店として機械工具の販売を開始したことに始まり、その後、業容を拡大していき、1964年に現在の株式会社ヤマデンへと改称しました。
現在は、工業用機械部品、特にゴム製品(シール製品)・軸受・チェーンなどのソリューション提案を主軸として、グループ全体で日本国内6拠点・海外1拠点のビジネスを展開しています。従業員数は80名ほどになります。
社員からの提案が経営陣に届く環境をつくりたい
Q. パルスアイ導入の背景(きっかけや理由)としては何がありましたか?
私は、先代社長から引き継ぐ形で2018年に社長に就任しました。就任後は、社内業務フロー見直し、GSuiteやSlackなどのITツールの導入に加え、人事評価制度の刷新、ミッションバリューの制定など、企業文化のアップデートに取り組んできました。オープンかつフラットで、フェアな環境づくりを重要視するべく、旧態依然とした体質や強すぎる年功序列、ITを活用しない非効率な経営の見直しをまずは重点的に進めました。
ヤマデンを、『この会社で働く根源的な喜びがあって、成果が出て、スキルも身に付き、いい人間関係も築けて、そして、資産も築ける』という会社にしたいと考えています。会社で働く喜びは人それぞれだし、一朝一夕にできるものではありません。他社の成功事例をマネしてもうまくいくものでもないですが、より良い会社を目指すために、色々な方法を試してみようと思いが自分の中にはあります。また、日頃から、社員が言いたいことを言える環境であるべきだし、社員から経営陣に対する提言や提案を聞けるような環境にしたいと気持ちがありました。そうした時に、パルスアイをご紹介いただいたのが、きっかけとなりました。
パルスアイ導入の目的は、社員の声の吸い上げ、経営に生かすこと
Q. パルスアイ導入の目的はどのようなものでしたか?
パルスアイ導入の目的は、一言で言えば「社員の声の吸い上げ、経営に生かす」ことです。正しい経営判断を行なっていくためには、現場での悩みや課題、改善提案など、社員からのインプットは常日頃からたくさん欲しいと思っています。また、人事制度を入れ替えたタイミングでしたので、新しい人事制度がうまく機能しているか、微調整すべき点がないか、などを把握することにもつながると考えました。ツールに多くを求めるつもりはありませんが、社員の声に耳を傾けることが、当社の行動指針である「全員リーダーシップ」の浸透につながり、長い目で見て、組織風土を変えるきっかけになれば嬉しいなという気持ちもあります。
導入に当たっては、不安や反対意見がなかったわけではありません。社員の声を聞くからには、真摯に対応をする責任が生まれます。現場内で完結させた方がいいこともあるのではないか、という意見もありました。また、現場から上へ意見は言いやすい雰囲気や環境は大切ですが、合わせて、上から現場に方針を伝える際の規律も大切で、このバランスが保てるのかといった議論もありました。
パルスアイの評価
費用が安く、合わなかったら後戻りしやすい。だから、導入ハードルは低く感じた
Q. 導入のしやすさについては、どのように感じましたか?
「とりあえずやってみよう」という感じで、意思決定しやすかったですね。まず、費用が競合他社と比べると、すごく安いですね。そして、人事制度設計のように自社に深く根ざしたツールではないので、始めてみて合わなければ、途中で辞めやすいというのも、導入の判断をしやすかった理由の一つです。
実際の導入作業も、部署設定と社員のメールアドレスを登録するだけだったので、開始するまでの準備は非常に楽でした。
「今月の一言」は社員からのメッセージとして有効に機能している
Q. 調査結果からの気づきや発見はありましたか?
「今月の一言」で社員が毎月書いてくれる内容は、全社員分必ず目を通していますが、色々な意味で得られる気づきや示唆が大きいです。大半の社員は率直な意見を書いてくれていますし、その中で、社員からの改善提案や、社員の考え、今おかれている状況に対する要望が把握できるのは、経営陣としてありがたいと感じています。中には「そんなことを思っていたんだ!」という意見もたまにあったります。
基本的に、社員の生の声を大切にしていて、それをどう受け止めるかが大事だと考えています。真摯に受け止める一方で、安易に鵜呑みにすることもありませんが、毎月社員の声を聞き続けることで、組織運営の方針に影響が出る場合もあります。
社員の声は大切にしていて毎月必ず見るのですが、実際は、毎月「今月の一言」を見るのは、とても怖いんです。前向きな気持ちになれるタイミング、例えば、朝のランニング後とかに見ています笑。やはり、良い意見ばかりではなく、厳しい意見、ネガティブな意見などもあるので、「今月の一言」はパンチ力強いんです。だからこそ、社員からのメッセージはしっかり目を通すことが重要だと考えています。
パルスアイは、負担感が少なく、社員が手軽と感じている
Q. パルスアイの良い点(優れている機能)はどのあたりですか?
全国に複数の営業所を抱える当社では、毎月社員全員と顔を合わせて話を聞くのはほぼ不可能なので、「今月の一言」は社員の考えをタイムリーに把握し、会社全体の状況を掴むのに役立っていますね。 毎月1回という頻度で、定期的にアンケートが行われるので、習慣づくと丁度いいペースになりますし、インプットがあることの安心感もあります
また、社員側も、毎月の質問数が少ないので、回答負荷が低く、手軽だと感じていると思います。負担感が少ないので、継続しやすいのは良い点です。
年に1回のアニュアルサーベイの中に、会社の強みと弱みに関する自由記述がありますが、その内容を読むと、会社の風土や文化的な所を含めて、経営陣としてこのままではいけないなという危機感を持つことにつながりました。会社を良くするための努力がまだ足りていないという気持ちにつながったのが、良かったです。
社員と直接コミュニケーションをとる場も大切にしたい
Q. パルスアイの改善点(期待・要望)としては、何がありますか?
改善点という訳ではないですが、自由記述については、書くことが好きじゃない人もいるし、直接話を聞いて欲しいという人もいるので、そのあたりのバランスは難しいと感じています。
経営ツールの一つとして便利な点はもちろんありますが、言ったもん勝ちのご意見箱みたいになってしまってはダメだし、このツールだけで何かが解決する訳ではないので、社員との直接的なコミュニケーションの場を大切にしたいと思っています。
ただ、1on1ミーティングだと、中には緊張して上司とうまく話せない人がいるので、テキストベースの方が、人によっては返って本音が出やすい・書きやすいというのもあるので、その辺りは意外とよかったりするのかなと感じています。
あとは、パルスアイの結果をどういう風に使っていくか、しっかりとした運用をしていくための会議体の整備など、活用方法の落とし込みが課題かなと感じています。
パルスアイの運用
導入は丁寧に、その後は自社が継続できる仕組みで無理なく運用
Q. 社内(経営陣や幹部層)の巻き込み方として、どのような工夫をしていますか?
まず導入する際に、社員に対しては、社内ポータルで「より良い仕事環境づくりをするために、外部ツールを導入するので、本音で回答して欲しい」と依頼しました。
導入後、最初の1ヶ月目〜2ヶ月目は、パルスアイの結果を読み込んで、主要な意見に対しては、社員全員に公開する形で、社長としての意見をフィードバックしました。その後は、毎月の結果を見ながら、人事企画チームと共有して、必要に応じて、個別対応している状況です。
特定の意見に引っ張られないようにしていますが、複数人の意見や重要度が高いと判断できる場合には、組織運営上の判断につなげている場合もあります。
導入を検討中の企業にメッセージ
魔法のツールではないが、パルスアイをうまく使っていく姿勢が大切
Q. パルスアイの導入を検討中の企業にメッセージがあれば、お願いします
パルスアイのような組織診断ツールは、導入企業がどのように運用し、経営や組織運営の判断に活用していくかが大切です。今は、従業員満足が社員の定着率や生産性という面で、経営の業績に影響していく時代なので、社員のパフォーマンスを最大化するためのインプットツールとして有効です。
ただ、魔法のツールではないので、これで会社の課題が全て綺麗に解決することはないと理解することも大切で、その上で、パルスアイをうまく使っていく姿勢が大切だと感じています。
当社も、導入前は社員の声を聞くことの不安感はありましたが、今では「ことなかれ主義で何も聞かずにやり過ごすより、人事部門が社員の声を受け止める覚悟とそのためのアクションをとることが大切」だと考えています。やはり、従業員が経営陣に一言伝えられるルートを確保しておくことが重要だなと。
「パルスアイを始めた後どうするか?」「従業員の声を聞いたはいいけど対応できないのではないか?」という懸念を持つ企業もあるかと思いますが、一定数の社員の声を把握でき、その内容に意義があるのであれば、会社にとってマイナスになることはないですし、それで良しとすればいいのではないでしょうか。会社と社員が健全で風通しの良い状況を作るために、ツールの費用対効果を厳密に測る必要はないですし、社員の全ての意見については気にしすぎても仕方ないので、いい意味でのスルー力も大切です。あまり神経質になり過ぎずに、まずは試してみるというスタンスでいいと思います。