最近NETFLIXの事業成長のニュースを目にする方も多いのではないでしょうか。この成功は、新型コロナウィルスの影響により巣ごもり需要の増加やデータの活用、世界から注目されるコンテンツの制作などだけでなく、NETFLIX独自の企業文化の考え方の影響も大きいといわれています。今回は、企業文化を形成に悩んでいる方向けにNETFLIXの企業文化の形成に大きな影響を与えたカルチャーデックをご紹介します。ぜひご参考にしてください。

シリコンバレーから最大の注目を浴びたNETFLIXのカルチャーデック

新たな映画・ドラマの視聴方法を定着させるなど大きく成功が注目されているNETFLIXですが、事業自体以外に世の中の大きな注目を浴びたのがカルチャーデックです。2009年にNETFLIXのCEOリード・ヘイスティングがカルチャーデックを公開すると500万回以上視聴され、大きな注目を浴びました。また、Facebook COOのシェリル・サンドバーグが「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と評価しています。その結果、企業の成功において企業文化の形成の重要性が注目を集めることとなりました。

NETFLIXは最初からしっかりとした企業文化があるわけではありません。もともとDVDレンタル事業として展開していたNETFLIXは事業浸透に伴いコストがかさみ、IPOのタイミングで大幅なレイオフを実行しました。そのような状況で少人数で最大級の結果を出す必要がある中で企業文化を形成していきました。それを明文化したのがカルチャーデックです。NETFLIXで採用時に最も重要視しているのがカルチャーデックともいわれています。

NETFLIX カルチャーデックの代表的な3つのポイント

NETFLIXのカルチャーデックのキースライドと合わせて代表的な3つのポイントをご紹介します。

市場で最も優秀の人材を選別

We’re a team, not a family. We’re like a pro sport team not a kids recreational team. Netflix leaders hire, develop and cut smartly, so we have the stars in every position.

私達は家族ではなく、チームです。私達は子供たちのレクリエーションチームでなく、プロのスポーツチームです。ネットフリックスのリーダーは、スマートに採用をし、人材育成をし、解雇をします。そのため、すべてのポジションにスターの従業員がいます。

1つ目がNETFLIXは市場で最も優秀な人材を集めるという点です。NETFLIXは、スポーツチームのようにその時に必要な最高な人材を集めることで企業の成長を目指し、そのために業界一高水準の給与の支給をカルチャーデックで明記しています。社員に自分のスキルが最も適している環境を与えることで、責任を持ってもらい、最高のパフォーマンスをしてもらうことを狙っています。その一方、役割がなくなったり、要求に答えられない従業員は次のチャレンジに導くといいます。実際、カルチャーデックを作成した人事担当のパティ・マ−コード氏もカルチャーデックを作成以降NETFLIXを退社しています。ドライにも見えますが、常に企業の成長をゴールに最高の人材を集めていることが大きく成長につながっています。上述した最高の人材に最高のパフォーマンスを促進するための文化には下記のようなものがあります。

透明性がある企業

The best managers figure out how to get great outcomes by setting the appropriate context, rather than by trying to control their people.

最高のマネージャーは、最高の結果を得るためにスタッフをコントロールしようとするのではなく、適切なコンテクストを設定する。

2つ目は透明性がある企業であることです。NETFLIXでは企業情報はすべて社員に閲覧権限を与えています。例えば、どの監督・俳優がどの作品に関わっているのか、作品への契約金などすべての情報を社員が見たければ見ることができます。このように企業の経営方針含めて透明性をもって社員に明らかにすることで社員は自分がやることが明確になり、パフォーマンス向上に繋がっています。

自主性確立

As we grow, Minimize Rules. Inhabit chaos with ever more high Performance people. Flexibility is more important than efficiency in the long term.

成長するに従い、ルールを減らしていきます。高い能力従業員とカオスを楽します。長期的に見た時には、効率よりも柔軟性のほうが重要です。

3つ目は、自主性の確立です。企業で勤務していると上司への承認や細かいルールなど多くの制約や手間があります。しかし、NETFLIXでは休暇日数の制限を撤廃したり、上司への承認プロセスを不要とするなど多くの制約をなくし、従業員の自主性を確立しています。従業員が余計な制約から開放された結果、本業に集中できていることも成功の一要因です。

NETFLIX以外のカルチャーデック例

ご紹介したきたようにNETFLIXならではの文化はカルチャーデックで明文化することで内部・外部含めて認知が広がり、より一層企業文化を磨きあげています。NETFLIXの企業文化は過激と言われる部分もあり、ただ施策を真似すればいいものではありません。しかし、企業文化の形成や浸透していくためにカルチャーデックを活用するのはおすすめです。実際NETFLIX以外に多くの企業がカルチャーデックを作成することで企業文化を明文化しています。

Linkedin

LinkedInは、現在6億人以上が利用しているビジネスSNSです。LinkedInもカルチャーデックを2015年に公開し、現在1,400万回以上見られています。企業の姿勢なども含めた文化をTransformation・Integrity・Collaboration・Humor・Resultsという5つのキーワードをベースに構成しています。カルチャーデック自体も、「人」との関わりが強いSNS企業を表すように従業員の写真を中心に作られています。

Asana

Asanaは元Facebookエンジニアが作成した多くの企業も導入しているタスク管理・ドキュメント管理ツール企業です。カルチャーデックでは創業時のストーリーやバリューだけでなく、「Teams of Peers」としてチーム内での姿勢や水曜日は会議なしなど社内制度について紹介しています。NETFLIXやLinkedInと比較すると認知は高くないですが、カルチャーデックを作成することで​インターナルへの浸透だけでなく、採用活動などにおいて自社の魅力を伝えるための広報活動にも活用可能できます。

カルチャーデックの作り方のポイント

最後に実際に自社でカルチャーデックを作るときのポイントをご紹介します。

目的の整理

1点目は目的の整理です。ご紹介したようにカルチャーデックには、企業文化の浸透などインターナル向けの側面と企業文化にあった人を採用するという外部向けという側面と2つがあります。内容には大きく異ならないかもしれませんが、どちら向けを重視するかによりアウトプットの精度などが大きく異なってき、PJTの範囲が変わります。そのために作成する前になぜ作成するのかという目的を整理しておきましょう。

自社の創業ストーリー・社員の声の棚卸し

2点目は、自社の実態に即した内容にするということです。カルチャーデックを作成しても全く実態に即しておらず、妄想から作り上げてしまっても、社員への浸透しないですし、実態との齟齬が発覚したときにはイメージ低下にもつながるかもしれません。そのためにも自社の現状から作成するようにしましょう。自社が創業した際のバックグラウンドや社員の声を聞き、不文律となっている風習や決まりなどを明文化しながら作り上げていくようにしましょう。

まとめ

いかがでしょうか。Netflixの成功の大きな一因に企業文化があると言われております。それを明文化したのがカルチャーデックです。カルチャーデックのおかげで企業の方向性は明確になり、また採用の際にも大きな指針になります。NETFLIX以外にも多くの企業が作成しており、近年日本企業も採用デックという形で作成している企業も増えてきています。カルチャーデックを作成するためにはまずは社員と話す機会をもつことで現状の文化の棚卸しからはじめてはいかがでしょうか。

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