カムデン・プロパティ・トラスト(Camden Property Trust)(以下、カムデン)とは高い従業員エンゲージメントで知られる、米国テキサス州に本社を置く不動産投資信託会社です。
カムデンは多世帯のマンションコミュニティを所有し、管理・開発・再開発、さらに買収や建設も行っています。
取扱物件には中層建築や2〜3階建ての物件が多く、ジムやプール・クラブハウスなどの設備や高いセキュリティがカムデンの売りです。
本記事では「働きがいのある会社」の常連であるカムデンから、従業員エンゲージメントを向上させる方法を学びましょう。
ここではカムデンにおける、具体的な従業員エンゲージメント対策を紹介します。
カムデンの強みは「互いへの尊敬と楽しめる環境」
カムデンの前身となる会社が1982年に誕生してから、約40年。
従業員エンゲージメントを高めながら、カムデンは進化を続けています。
残念ながらCEOへの評価は低いものの、社員から楽しく働ける環境であることが評価されている企業です。
2008年には初めて、カムデンが「Fortune 100 Best Companies to Work for」(米国における働きがいのある会社ベスト100)に選ばれました。
2016年からは「お客様第一」を掲げて、カスタマーサービスの向上にも努めています。
「すべての社員にとって素晴らしい職場」がモットー
カムデンの指針は、「すべての社員で会社を作り上げ、全社員がつながり、全員がベストを尽くす」ことです。
なんと、実に92%もの従業員が「カムデンは素晴らしい職場」と回答しています。
互いへの尊敬と楽しんで働ける労働環境の提供こそが、カムデンの強みと言えるでしょう。
2019年には社内の多様性や平等などに関する規定を強化し、より多様性を重視する経営方針へとシフトしました。
個々人の経験や環境を反映することで、全社員が優れたアイデアを生み出すことを目標としています。
「社員一人一人が家族」という価値観が経営の根幹
「社員一人一人が家族である」という価値観こそが、カムデンの経営の根幹です。
実際に、97%の従業員が「入社時に歓迎された」と感じています。
それほど、カムデンの職場環境は温かいと言えるでしょう。
社内の団結力により仕事への意欲が湧くことで、結果的にカムデンでの仕事を楽しみながら業績の向上も実現しています。
つまりカムデンでは、従業員エンゲージメントの促進にも成功しているでしょう。
ここでは、より具体的にカムデンの価値観を解説します。
「成功は社員のおかげ」を示す
社員がさらに成長して成功できるように、カムデンでは機会や情報を提供しています。
たとえばカムデンは、社員に対して年間で4500米ドルまでの大学コースへの奨学金を支払っています。
ただし条件は、フルタイムで6ヶ月以上カムデンに勤務していることです。
他にも、従業員に対して財政保障プランを紹介したり、有給休暇の保証、割安な自社株式の販売も行っています。
さらには、優秀な社員に対するボーナス付きアワードもあり、社員の頑張りを評価するシステムが充実した企業と言えるでしょう。
自然災害の発生時や家族の緊急事態などが起こった場合の従業員への生活保障も充実しています。
なんとカムデンでは、従業員の子供に対する大学費用の負担軽減や養子を迎えた社員への経済的サポートまで実施。
養子を迎えた従業員は家族での時間を充実させるために、追加で3週間の有給休暇まで利用できます。
いかにカムデンが、社員一人一人を大切にしているかが伺えるのではないでしょうか?
「互いへの尊敬を持って共に働く」が向上の秘訣
カムデンでは「互いにリスペクトを持ちながら、共に働くこと」が向上の秘訣と、捉えています。
つまり立場やバックグランドに関係なく、社員それぞれが互いを尊重してチームに貢献することが成功につながる、という考え方です。
共に働くことで問題の解決を図ることができ、社員一人一人、そしてカムデンの更なる成長を可能にするでしょう。
「楽しもう」がモットー
楽しんで働くことが、カムデンのモットーです。
カムデンでは共に笑い、良い時を過ごしながら、重労働も楽しむことを目指しています。
そして何かを決めたり行動する際には、正直さと信頼性を持って高潔であり続けることも企業理念です。
加えて、「常に正しく」という信念もカムデンには外せません。
自社のガイドラインが状況に相応しくないときは、最善の判断を下し、常に顧客にとって最も良い方法を選びます。
顧客の満足度が高いと、自ずと従業員の仕事に対する達成度や充足感も高まるでしょう。
したがって、従業員エンゲージメントも向上すると言えます。
「自己成長の応援は欠かさない」という未来への投資
カムデンにとっては、社員こそが最高の資産です。
そこで社員が成長してより輝けるように、カムデンでは常に社員がスキルを向上できる機会を用意しています。
たとえばカムデンでは、以下の領域などでのトレーニングプログラムを実施しています。
・メンテナンス
・営業
・マネージメント
さらに、専門分野で必要となるスキルの継続的な勉強や資格・技術の取得なども可能です。
ここでは、カムデンを代表する特徴的なプログラムも見ていきましょう。
リーダーの育成
カムデンには、全米各地に存在する自社のマネージャーと知り合いながら、1週間徹底したマネージメント教育を受けるプログラムがあります。
カムデンのリーダーになれる資質、社員のまだ見ぬ可能性を引き出すことが目的です。
指導者プログラム
新入社員が成功できるように、カムデンでは全力を尽くしています。
よって、それぞれの新入社員に適した先輩社員を付けて、仕事のやり方を指導するプログラムを実施中です。
実際に95%の社員が、「仕事をする上で必要な情報や設備を提供してもらえた」と感じています。
訓練プログラム
自社の社員がスキルを身につけて昇進していくことは、長年にわたるカムデンの誇り。
そこでカムデンでは、従業員の訓練も欠かしません。
社員からも、「カムデンの訓練プログラムは最高」と評価されています。
社員を育て上げる力を持っていることは、カムデンが誇る魅力です。
従業員にとっても自身が昇進していける点は、従業員エンゲージメントの向上へとつながっているでしょう。
「持ちつ持たれつ」も大切
カムデンでは、所有する物件で形成しているコミュニティへの投資も積極的です。
コミュニティで援助を必要としている人々にサポートを提供することで、日頃多くの貢献をしてくれている人々への恩返しを目標としています。
たとえばコロナウイルス感染症の拡大に伴い、アメリカ合衆国全土で多くの人々が予想外の経済的困難に直面。
そこで8,186名の自社への入居者と家族に対して、カムデンでは10億円を超える寄付を行いました。
またコロナウイルス感染症と最前線で戦っている自社への入居者とそのチームに対しては、1,943食分を提供することで感謝を表明。
自社の住民に対してだけでなく、カムデンでは地域の貧困者への食事提供やペットレスキュー、公園の整備など数々の地域貢献できる取り組みも行なっています。
このようなコミュニティや地域への貢献も、従業員の満足度や達成感を高め、従業員エンゲージメントの向上に至るのではないでしょうか?
まとめ
「働きがいのある会社」として選出される常連である、カムデン。
カムデンには数多くの従業員が達成感を感じて、仕事にやり甲斐を持てる仕組みが存在しています。
やはり従業員エンゲージメントの向上には、社員の仕事に対する満足度と会社からのサポートの充実度が欠かせないでしょう。
米国と日本では企業文化が異なりますが、カムデンの従業員エンゲージメント対策には見習う点が非常に多くあります。
自社に見合う従業員エンゲージメントの取り組みに対して、本記事を参考にされてはいかがでしょうか?