エンゲージメントの定義と重要性
エンゲージメントの定義: 従業員エンゲージメントとは、従業員が仕事や職場に対して示す「熱意」や「愛着心」の程度を指します。簡単に言えば、自社や仕事にどれだけ主体的・情熱的に関与しているかという指標です。エンゲージメントが高い社員は、会社の目標達成に向けて自発的に努力し、いわゆる「 discretionary effort(裁量労働)」を惜しみません。一方、エンゲージメントが低い社員は指示された最低限のことしかせず、場合によっては職場に不満を抱え生産性を下げてしまいます。
重要性: 従業員エンゲージメントは企業業績や離職率に直結する重要な要素です。エンゲージメントが高い組織では、生産性向上や顧客満足度の改善が期待でき、低い組織に比べて業績が大幅に向上するとの調査結果もあります。逆にエンゲージメントが低いと優秀な人材ほど離職しやすくなる傾向が指摘されています。実際、ある調査ではエンゲージメントの高い社員は低い社員より離職率が87%も低かったというデータも報告されています。つまり、社員のエンゲージメント向上は離職率の低下や生産性の向上に直結するため、中小企業にとっても無視できない経営課題と言えます。
特に人員規模の限られた中小企業では、一人ひとりの働きぶりが会社全体に与える影響が大きく、社員の定着も死活問題です。限られた人材で成果を最大化するには、社員がやりがいを持って長く働ける環境を整えることが重要です。幸い近年、日本でもエンゲージメントの重要性が広まりつつあります。2020年に経済産業省が公表した「人材版伊藤レポート」でも経営戦略と人材戦略の連動が提唱され、従業員エンゲージメントの向上が主要テーマの一つとして掲げられました。2023年からは人的資本情報の開示が大企業で義務化され、エンゲージメントに関する指標を有価証券報告書等で報告する企業も増えています。このように経営層の関心も高まっていますが、実態を見ると中小企業での取り組みはまだ十分とは言えません。
最新の調査では、中小企業の約3割しか従業員エンゲージメントを何らかの方法で計測できておらず、「測定していないが必要性は感じる」と回答する企業が6割弱にのぼりました。つまり 9割近い中小企業がエンゲージメントの必要性を認識していながらも、具体的な測定や対策に踏み切れていないのが現状です。まずは現状を把握するためのサーベイ(従業員アンケート)実施やKPI設定が出発点となります。
最新データ(2020年以降): 世界的に見ると、従業員エンゲージメントは徐々に改善傾向にあります。Gallup社の「2022年版世界職場環境調査」によれば、**世界全体のエンゲージメント率は23%と過去最高水準に達しています(※エンゲージメント率=「熱意あふれる社員」の割合)。しかし日本のエンゲージメント率はわずか5%と125か国中最下位で、4年連続で過去最低を更新しているのが現状です。これは主要国の中でも群を抜いて低い水準であり、日本の多くの労働者が「会社に不満を抱えつつ仕方なく働いている」状態にあることを示唆しています。実際、日本では「職場で熱意を持って働いている」社員はわずか数%**で、大半(約7割)が仕事に没頭できていない「いわゆる静かな退職 (Quiet Quitting) 状態」、残り約2割は会社に不満を抱えて足を引っ張っている層と分析されています。
上記の通り、日本企業における従業員エンゲージメント向上の余地は非常に大きく、これを改善できれば生産性や離職率にも大きなインパクトが期待できます。以下では、中小企業が現場で実践できる具体的なエンゲージメント向上策について、最新動向や事例を交えながら解説します。
社員モチベーション向上の具体策
エンゲージメントを高めるには、社員のモチベーションを喚起し「この会社で働き続けたい」「もっと貢献したい」と思える職場環境を整えることが不可欠です。中小企業でも取り組みやすい社員モチベーション向上の具体策として、以下のようなものが挙げられます。
報酬制度の工夫(給与体系・インセンティブ・福利厚生の改善)
報酬や待遇はエンゲージメントの「衛生要因」に当たります。給与が不当に低かったり待遇面で不公平を感じたりすると、社員の意欲は大きく削がれてしまいます。実際、転職理由の本音として「やりがいの欠如」と並び「給与が低いこと」が上位に挙げられており、待遇面の不満は離職につながりやすいことがわかります。したがって、まずは給与水準や福利厚生の整備によって最低限の不満要因を除去することが重要です。
具体的には、業績に応じた賞与やインセンティブ制度の導入、職務やスキルに見合った公正な昇給・昇格を行うこと、家族手当や住宅補助・健康支援など福利厚生を充実させることなどが有効です。中小企業では大企業ほど高待遇は難しいかもしれませんが、例えば決算賞与や利益の社員還元制度を設けたり、誕生日休暇・リフレッシュ休暇といったユニークな福利厚生を提供したりすることで、社員の満足度と会社への愛着心を高めることができます。また、**評価に応じた報奨(金銭以外の表彰や副賞など)**もモチベーション向上につながります。
近年の調査でも、多くの企業がエンゲージメント向上策として**「賃金の引き上げ」に取り組んでおり、その効果を実感しているケースが多いことが確認されています。実際に賃上げを実施した企業では、「効果があった」と感じる割合が最も高いとのデータもあります。このことからも、社員の頑張りに報いる適切な報酬制度がエンゲージメント向上の土台であると言えます。ただし報酬はあくまで基本的なモチベーション維持策であり、後述するような仕事のやりがいや成長機会の提供**と組み合わせて初めて真のエンゲージメント向上につながります。
フィードバックと評価制度の改善
社員が自分の仕事に誇りや意義を感じるには、適切なフィードバックと評価が欠かせません。努力や成果が正当に評価されなかったり、上司から建設的なフィードバックが得られなかったりすると、社員のモチベーションは低下しエンゲージメントも下がってしまいます。中小企業では評価制度が形式的になりがちですが、以下のような改善が効果的です。
- 明確な評価基準と公正な運用: 何を達成すれば高く評価されるのかを社員に明示し、評価プロセスの透明性を高めます。評価の際には一方的な上司の主観ではなく、具体的な成果指標や周囲からの360度フィードバックなども活用して公正さを担保します。
- フィードバック面談の充実: 定期的に1on1ミーティング等で上司が部下にフィードバックを行い、良い点は認め課題は建設的に伝えます。特に若手社員は成長実感を求めるため、日常的な声かけやコーチングが重要です。「叱責ではなくコーチング」を意識し、部下の主体性を引き出す対話を心がけます。
- 目標設定とキャリア面談: 単に評価するだけでなく、次の目標やキャリアパスについて上司と話し合う機会を設けます。社員一人ひとりの将来像や成長目標を把握し、それを会社でどう実現できるかを共に考えることで、「会社は自分の成長を応援してくれている」というエンゲージメントが生まれます。実際、スターバックスでは社員(パートナー)の個人の将来目標を話し合い、4か月ごとに人事考課とフィードバックを実施する仕組みで、アルバイトや学生スタッフにも成長の機会を提供しています。その結果、厳しい接客業務でも働き続けたい人が多く、高いエンゲージメントを維持できているとされています。
以上のように、正当な評価と建設的なフィードバック文化を根付かせることで、社員は「自分を見てくれている」「成長させてもらえている」と感じ、仕事への意欲を維持できます。評価制度の見直しには時間を要するかもしれませんが、小さな賞賛の声かけや週次・月次でのフィードバック習慣など、すぐに始められることから着手するとよいでしょう。
柔軟な働き方の推進(リモートワーク・フレックスタイム等)
仕事とプライベートの両立や働きやすさは、現代の従業員にとってモチベーションを左右する大きな要因です。特にコロナ禍以降、リモートワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方への期待が高まりました。中小企業においても、可能な範囲で従来の勤務形態を見直し、社員に柔軟性と裁量を与えることが求められます。
- テレワーク・在宅勤務の活用: 業種や職種によりますが、事務作業や開発業務などは在宅勤務を許可することで通勤負担を減らせます。移動時間削減はワークライフバランス向上につながり、社員の満足度も高まります。実際、在宅勤務の普及はコロナ禍で一時的にエンゲージメント低下を招いたものの、その後生産性は回復しつつあり、多様な働き方は長期的にはエンゲージメント向上に寄与すると考えられます。
- フレックスタイム制度: コアタイムなしの完全フレックスや、コアタイムを短めに設定したスーパーフレックス制度などで、社員が自分の生活に合わせて労働時間を調整できるようにします。例えば育児中の社員が子どもの送り迎えに合わせて勤務時間を前後させる、といった柔軟性が可能になります。
- 週休3日制・時短勤務の導入: 思い切った例では、**週4日勤務(週休3日)**を試験導入する企業も出てきています。日本マイクロソフトでは2019年に週休3日制を1か月試行したところ、労働生産性が約40%向上する成果が報告され話題となりました。すべての企業で同様にいくとは限りませんが、短時間で集中して成果を出す働き方が社員の充実感を高めた好例と言えます。また、副業容認や時短勤務制度も社員の自己実現を後押しし、結果的に本業へのエンゲージメントを高める効果が期待できます。
調査によれば、中小企業でも**「ワーク・ライフ・バランスや多様な働き方の推進」に取り組む企業が多く、賃上げと並んで主要なエンゲージメント施策となっています。柔軟な働き方の実現は一朝一夕にはいきませんが、たとえばノー残業デーの設定や有給休暇取得推進など、働きすぎを防止し私生活も大切にできる職場風土を作ることから始めると良いでしょう。社員が「会社に縛られてばかりではない」と感じられる職場は、結果的に会社への感謝や愛着が高まり、モチベーションアップ**につながります。
社内キャリアパスの構築とスキルアップの仕組み
社員が長期的にエンゲージメント高く働くには、「この会社で成長できる」「キャリアを積める」という展望が持てることが重要です。中小企業では大企業のような明確な職位体系や異動コースがない場合もありますが、工夫次第で社内キャリアパスやスキルアップ支援の仕組みを作ることができます。
- キャリアパスの明確化: 将来的にどのようなポジションや役割に就ける可能性があるのか、社員に示します。例えばマネジメント職だけでなくスペシャリストコースを用意したり、部署を横断して経験を積めるジョブローテーション制度を取り入れたりします。実際、旭化成株式会社では従業員一人ひとりにキャリアプランの明確化を促し、それに沿った配置や育成を行うことでエンゲージメントを高めた事例があります。
- 研修・学習機会の提供: 社員のスキルアップを会社が支援することで、「成長させてもらっている」という意識が生まれます。具体的には、業務時間内で受講できる研修プログラム、社外セミナーや資格取得の費用補助、社内勉強会の開催、OJT以外のメンター制度などが考えられます。ソニーグループ株式会社では社員の自主的な学びを後押しする環境整備により、人材育成とエンゲージメント向上を両立させたと報告されています。
- 社内公募・異動制度: 社員が自ら手を挙げて他部署のポストにチャレンジできる社内公募制度も、有能人材の流出を防ぐ有効策です。現ポジションに不満があっても会社内で新たな道が開ければ、離職せずに済むケースも多いでしょう。また、小規模企業でも役職ポストを増やす工夫(プロジェクトリーダーや○○長などのポストを新設する等)によって、昇進の機会を提供できます。
社内でのキャリア成長を支援するこれらの施策は、社員に「将来の展望」と「成長実感」を与えます。あるベンチャー企業では、自社のバリュー(価値観)を体現する7つのルールを策定・徹底し、それに基づき社員が主体的に動ける風土を作った結果、高いエンゲージメントを維持しています。また別の企業では定期的なキャリア面談を行い社員の目標を把握することで、「自分の成長を会社が応援してくれる」という安心感を与えています。中小企業でも、トップや人事担当者が社員一人ひとりと将来の目標について話し合い、その実現に向けた計画を共に立てるだけでも大きな効果があります。
以上、報酬・評価・働き方・成長機会の4つの観点からモチベーション向上策を述べました。これらは互いに関連し合うものです。例えば報酬や働き方の改善で土台となる安心感を提供し、評価フィードバックで意欲を引き出し、成長機会で将来への期待を持たせる――といった包括的な取り組みができれば、従業員エンゲージメントは着実に高まっていくでしょう。
経営層と従業員の双方向コミュニケーション
中小企業、とりわけオーナー経営企業では、経営トップのリーダーシップが会社の命運を握る場面が多くあります。トップダウンの意思決定には迅速さや方向性の明確さといった強みがありますが、一方で従業員の声が経営に届きにくいという課題も抱えがちです。この章では、オーナー経営のメリット・デメリットを踏まえ、経営層と従業員の双方向コミュニケーションを促進する仕組みや、海外の先進事例から学べるポイントを考察します。
オーナー経営の強みと課題(トップダウン経営のメリット・弊害)
オーナー企業では創業者社長が強いリーダーシップを発揮し、少数精鋭の組織を牽引しているケースが多く見られます。この**「文鎮型トップダウン」**とも呼ばれるスタイルには、次のようなメリットがあります。
- 意思決定の迅速さ: 情報や権限が社長に集中しているため、判断に時間をかけず即断即決が可能。
- 一貫した方向性: 経営者のビジョンが全社にダイレクトに伝わるので、全員が同じ方向を向きやすい。
- 経験に基づく正確な判断: 豊富な経験を持つ社長自身が細部まで目を配り決定するため、大きな判断ミスが起きにくい。
- 有事に強い: 創業期や危機的状況では、リーダーの強力な指揮の下で組織が団結しやすく、乗り切る力となる。
実際、社員数百名規模までの中小企業ではトップダウン経営がとられる傾向が強く、物事がスピーディーに進む点は大きな強みです。しかし、一方でトップダウン型の弊害も認識しておかなければなりません。主な課題として以下が挙げられます。
- 経営者の判断に過度に依存: 社長一人に権限が集中するため、もしトップに判断力や先見性が欠けていると事業が行き詰まるリスクがあります。いわば「ワンマン経営」の危険性で、トップの限界がそのまま会社の限界となってしまいます。
- 中間層・現場の萎縮: 経営層の意向ばかりが優先される風土では、中間管理職の存在感が薄れ、現場から意見が出にくい職場になりがちです。自分の意見を言ってもどうせ却下される、と社員が感じると主体性が失われ、受け身の社員が増えてしまいます。
- 問題が隠蔽されやすい: トップに逆らえない雰囲気になると、現場から不満や反発の声が上がらず、結果として実態が経営陣に伝わらない恐れがあります。社長は「みんな自分についてきている」と思っていても、水面下では不満が蓄積しエンゲージメントが下がっている、といった事態になりかねません。
オーナー経営の企業では、これらトップダウンの弊害から**「受け身社員の大量発生」に陥る危険性が指摘されています。創業期は社長に共感する意欲的な社員が集まりトップダウンでも回りましたが、組織が大きくなっても旧来のやり方を続けた結果、社員が指示待ちで動かなくなった…という話は珍しくありません。こうした課題に対処するには、次に述べるような双方向のコミュニケーション機会**を設け、社員の声を経営に活かす仕組みづくりが必要です。
コミュニケーションを円滑にする仕組み(定期対話の場、社内SNS等の活用)
トップダウン経営の弊害を和らげ、経営層と現場の双方向コミュニケーションを活性化するためには、意識的に「社員の声を聞く場」や「情報を双方向に流す仕組み」を作ることが重要です。以下に具体策を挙げます。
- 定期的な対話の場を設ける: 社長や役員が社員と直接意見交換する場を定期的に設けます。例えば全社員集会(タウンホールミーティング)で経営方針を説明し質疑応答を行う、各部署との懇談会を月1回開く、ランチミーティングでカジュアルに話す機会を作る、などです。ポイントは一方通行の訓示で終わらせず、社員からの質問・提案を受け付ける双方向の場にすることです。経営者に直接意見を伝えられる機会があると社員の納得感が増し、「自分たちの声も経営に反映されている」というエンゲージメント向上につながります。
- 社内SNS・情報共有ツールの導入: オープンなコミュニケーション文化を醸成するには、デジタルツールの活用も効果的です。社内SNSやチャットツール(SlackやTeamsなど)を導入し、部署や階層を超えて情報発信・交流できるようにします。社内SNSを使えば現場のアイデアや知見を全社で共有でき、組織の透明性も高まります。実際に社内SNSを活用した企業では、部門間の連携強化やイノベーション創出が進み、従業員エンゲージメントが向上したとの報告があります。匿名の意見投稿機能や「いいね!」機能を設けて気軽に声を上げられるようにするのも一法です。
- 経営陣からの情報発信(透明性の向上): 双方向と言いつつも、まずは経営側が情報開示する姿勢を見せることが大切です。会社の業績や戦略、新しい試みなどを積極的に社員に共有しましょう。最近では経営会議の議事録公開や社長ブログ、週次の動画メッセージ配信などを行う企業もあります。透明性が高まれば社員の会社への信頼感が増し、心理的安全性の向上にもつながります。
- 提案制度・目安箱の設置: 形式ばらず気軽に意見を寄せられる提案制度も有効です。オンラインの意見箱やアイデア投稿フォームを設けて、業務改善案や新規事業アイデア、職場環境への要望などを社員から常時募ります。寄せられた意見には経営陣や該当部門がフィードバックし、採用案には報奨を与えることで継続的な改善サイクルを回します。ある中小企業では「社長へのホットライン」と称して匿名メールで社長に直接意見を送れる仕組みを作り、現場の声を経営判断に活かしている例もあります。
このようなコミュニケーション施策によって、社員は「経営層が自分たちの話を聞いてくれる」「一緒に会社を良くしていける」と感じるようになります。オープンな対話は組織のイノベーションを促進し、従業員のエンゲージメントを高めることが実証されています。特にオーナー経営の場合、トップ自らが歩み寄って声を聞く姿勢を示すことが、閉鎖的な風土を打破するカギとなるでしょう。
海外の成功事例(フラットな組織構造・高い透明性の経営)
双方向コミュニケーションをさらに発展させた形として、フラット型組織や高い情報透明性を特徴とする海外企業の事例が参考になります。欧米の成長企業には、従来のヒエラルキーを排して社員の自主性を最大限尊重することでエンゲージメント向上と業績向上を両立している例が多くあります。
- Netflix(米国): 動画配信大手Netflixは「自由と責任」という独自の企業文化の下、極めてフラットな組織と大胆な権限移譲を実践しています。例えば勤務規則や手順のマニュアルを極力排し、社員が各自の判断で迅速かつ最適な意思決定を行える環境を整えています。同社は失敗を成長の機会と捉える文化も持ち、「リスクを恐れず挑戦せよ」と社員に求めています。このように失敗を許容し革新的なアイデアを歓迎する風土が社員の主体性とエンゲージメントを高め、急成長を支える原動力となりました。実際、Netflixは一時業績が悪化した際に創業者のリード・ヘイスティングス氏が復帰しエンゲージメント重視の経営に舵を切った結果、見事に業績を回復させた経緯があります。
- Spotify(スウェーデン): 音楽配信サービスSpotifyもフラット組織の代表例です。小規模の自律型チーム(スクワッド)に大きな裁量を与え、各チームが意思決定できる体制を敷いています。組織階層を減らし情報をオープンにすることで、変化への迅速な対応とイノベーション創出を実現しました。経営陣はトップダウンで命令するのではなくコーチやファシリテーターに徹し、必要な支援と方向付けのみ行います。このような「任せる経営」により社員の創造性とエンゲージメントを引き出しているのです。
- その他の例: 米国のIT企業では社内情報(経営指標や給与レンジ)を社員に公開し透明性を高めているケースも多く見られます。例えばある企業では全社員に経営会議の資料を共有し、自社の課題や数字を隠さず知らせています。またブラジルのSemco社のように、従業員が自分の上司を選べたり出退勤を完全に自己管理できたりするほど徹底したフラット経営で成功した例もあります。
海外事例に共通するのは、「社員を信頼し、大胆に任せる」「情報をオープンにして自律的な判断を促す」という点です。もちろん日本の中小企業ですぐにここまで大胆な改革をするのは難しいかもしれません。しかし部分的にも取り入れられる要素は多いでしょう。たとえば経営情報の開示範囲を広げるだけでも社員の信頼感は増しますし、現場の小さな意思決定は現場に委ねるようにすればスピードと士気が上がります。海外の成功事例が示すように、組織をフラットにし社員の自主性を尊重することは、結果的にエンゲージメントを高め業績を伸ばす有力な戦略なのです。
チームビルディング施策と成功事例
従業員エンゲージメントを高めるには、個人の処遇改善や経営との対話だけでなく、チーム単位での職場環境づくりも重要です。人は周囲との関係性やチームの雰囲気によって仕事への意欲が大きく左右されるため、心理的安全性の高いチームを作り、チーム全体でエンゲージメントを向上させる施策が求められます。この章では、チームビルディングの観点から施策と成功事例を紹介し、特に日本企業の取り組み事例とエンゲージメントサーベイ「PULSE AI」の活用例に焦点を当てます。
チームの心理的安全性を高める方法
心理的安全性とは、チームの中で「この発言をしたら馬鹿にされるのでは」「失敗したら責められるのでは」といった恐怖心がなく、メンバー全員が安心して発言・行動できる状態を指します
c-c-a.net。ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念で、**Google社の研究(プロジェクト・アリストテレス)**によって効果が実証され一躍注目を浴びました。Googleの研究では、心理的安全性の高いチームほど生産性や創造性が著しく向上することが科学的に示されています。つまり、チームの雰囲気が安心・安全であることはエンゲージメントの土台と言えます。
中小企業でも、まず各チーム・部署内で心理的安全性を確保する取り組みが必要です。具体的な方法をいくつか挙げます。
- 失敗を許容し学習機会と捉える文化: リーダーや経営者が率先して「失敗は責めない」「失敗から学ぼう」という姿勢を示します。失敗事例をチームで共有し教訓を得るポストモーテム(振り返り)を実施したり、失敗談を表彰するユニークな制度を設けたりしてもよいでしょう。Netflix社が「失敗は成長のプロセス」と公言しているように、社員がリスクを恐れず挑戦できる環境を整えることが大切です。
- 上司・先輩のオープンな姿勢: 管理職は部下に対し威圧的でなくフランクに接するよう努めます。自らミスを認めたり助けを求めたりする姿を見せる「リーダーの弱みの開示」も有効です。上司が完璧超人を演じるのではなく人間味を見せることで、部下も安心して本音を話せるようになります。また、日常的に雑談や相談に乗ることで信頼関係を築きましょう。
- 対話ルールの整備: 会議やブレインストーミングでは「相手の意見を否定しない」「発言を遮らない」「傾聴する」といった基本ルールを全員で共有します。異なる意見が出ても感情的にならず議論できる訓練にもなります。心理的安全性は単なる「仲良し」ではなく、意見の対立があっても大丈夫な状態を指すため、建設的な議論の場数を踏むことが重要です。
- 1on1やピアサポート: チーム内外でペアになり定期的に悩みや目標を話し合う1on1ミーティング、あるいはメンター制度等で縦横のサポート関係を構築します。特に新しく入ったメンバーが孤立しないよう、オンボーディング期間に1対1の対話機会を頻繁に設けましょう。「困ったら誰に相談すればいいか」が明確になるだけでも安心感があります。
こうした取り組みを継続することで、「このチームなら自分を出せる」「助け合える」とメンバーが感じられるようになります。その結果、メンバー同士が積極的に意見を出し合い、新しいアイデアや問題解決策が生まれやすくなることが期待できます。心理的安全性が確保されたチームでは、メンバー各自が自分の能力を最大限発揮できるため、エンゲージメントも自然と高まります。
一つ注意したいのは、心理的安全性を履き違えて「ぬるま湯の馴れ合い」になってしまうことです。安心=甘やかすではなく、「目的に対しては厳しく、人には優しい」環境を目指すことが重要と指摘されています。つまり、お互いを尊重しつつもチームの目標達成には真剣に向き合う文化を醸成することが、高パフォーマンスと高エンゲージメントの両立ポイントになります。
実際の企業事例(日本企業の成功事例を中心に、海外事例を補足)
次に、エンゲージメント向上につながった具体的な企業の取り組み事例を紹介します。日本企業の例を中心に挙げますが、共通するキーワードは「ビジョンの共有」「測定とフィードバック」「マネジメントの改革」です。
- ユーザベース(UZABASE): 経済情報サービスを手掛けるユーザベース社は、Forbes JAPAN誌の「エンゲージメントの高い企業ランキング」でトップ10入りした注目企業です。同社では企業文化の核となる7つのバリュー(行動指針)を策定し、「やらないこと」を含め明文化して社員に浸透させました。例えば「We prioritize People(社員を第一に考える)」など明快な価値観を掲げ、採用時から徹底的に共有しています。これにより社員全員が目指す方向性を強く共感し、組織としてブレない一体感・エンゲージメントを生み出しています。「7つのルール」「4つのやらないこと」「31の約束」といった独自の言葉でカルチャーを伝える工夫も功を奏し、社員が主体的に行動しやすい環境を構築しています。
- LIXIL(リクシル): 大手住設メーカーのLIXILでは、グローバル企業への変革に伴い従業員エンゲージメントの重要性が増しています。同社は定期的なエンゲージメントサーベイの実施を徹底することで有名です。四半期ごとに社員にアンケート調査を行い、組織風土や課題の変化をデータで追跡。結果は経営陣にも共有され、スピーディーに対策を講じています。例えば、ある部門で「上司からの認知が少ない」というスコアが低下した際には、直ちに全管理職にフィードバック研修を行い改善につなげたそうです。このようにデータに基づく継続的な測定と改善を行う姿勢が、エンゲージメント向上に寄与しています。
- 小松製作所(コマツ): 建機大手のコマツでは、以前は硬直的な大企業体質があったものの、働き方改革と共にエンゲージメントにも注力し始めました。特に注目すべきはマネージャー層へのエンゲージメント教育です。管理職研修で「エンゲージメントとは何か」「チームの心理的安全性をどう高めるか」を学ばせ、職場で実践するよう促しています。これによって管理職の意識改革が進み、現場でのコミュニケーション活性化や部下育成に良い変化が生まれました。労務管理型の管理職からコーチ型リーダーへの転換を図ることで、社員のやる気と定着率が向上したケースと言えます。
- スターバックスジャパン: 外資系ですが日本でも大きな成功を収めているスターバックスは、エンゲージメント経営の象徴的存在です。同社はアルバイトも「パートナー」と呼び、従業員を対等で尊重すべき存在と位置付けています。店舗ごとにビジョンを掲げ、四半期に一度の人事考課面談で全スタッフの成長目標を話し合い、日常的にも上司がコーチングを行う文化があります。その結果、8割がアルバイトという環境でも高いやりがいを維持し、離職率の低さとサービス品質の高さにつなげています。「エンゲージメント重視の経営で業績不振から復活した」(2008年頃の米国本社の事例)というストーリーもあり、経営トップから現場まで一貫してエンゲージメントを経営戦略の柱に据えています。
以上の事例に共通するのは、社員の声やデータを経営に活かし、社員が会社のビジョンに共感できるように働きかけている点です。ビジョン共有(ユーザベース)、データ活用(LIXIL)、マネジメント改革(コマツ)、成長支援(スターバックス)とアプローチは様々ですが、いずれも社員を大切にし、働きがいを創出する工夫を凝らしています。その結果、離職率の低下やサービス向上など業績面でも好循環を生み出しています。
エンゲージメントサーベイ「パルスアイ(PULSE AI)」の活用事例
最後に、従業員エンゲージメントを測定・向上させるためのITツール活用事例として、「PULSE AI(パルスアイ)」というエンゲージメントサーベイの導入事例を紹介します。PULSE AIは月1回の簡易アンケートで社員の本音を把握し、AIが退職リスクの高い社員を予兆検知してくれるクラウドサービスです。近年、社員数100~1000名規模の中堅企業で導入が進んでおり、中小企業でも取り入れやすいツールと言えます。
商社Aの事例: 1887年創業、社員数約300名の老舗機械商社であるA社では、社内の声を経営に活かすためPULSE AIを導入しました。導入の目的は一言で言えば「社員の声の吸い上げ、経営に活かす」ことにあります。現場の悩みや課題、改善提案などインプットをたくさん集めて正しい経営判断をしたい、というトップの狙いでした。特に同社では人事制度を刷新したタイミングだったため、その新制度がうまく機能しているか微調整点はないかを把握する目的もありました。
PULSE AIでは毎月1回、社員全員に5分程度で回答できるアンケートを配信します。A社ではその中の自由記述欄「今月の一言」を社員から経営陣へのメッセージとして重視しました。社員が毎月自由に書いてくれる意見・提案・要望を経営陣(社長含む)が全員分必ず目を通し、様々な気づきを得ているそうです。例えば「〇〇の業務フローを改善できないか」という現場からの提案や、「新人育成に課題を感じている」といった声まで、普段は上がってこない生の意見を把握できる点を経営陣は非常にありがたく感じているとのことです。「社員からこんな本音が出ていたんだ!」とハッとさせられるコメントも時折あるようで、それだけ現場の率直な声を引き出す効果が出ています。
もちろん、ポジティブな意見ばかりでなく厳しい意見やネガティブな声も寄せられます。そのため社長曰く「毎月『今月の一言』を見るのは正直怖い」とのことですが、それでも社員からのメッセージはしっかり目を通すことが重要だと考え、必ず全件チェックしているそうです。全国に複数拠点がある同社にとって、毎月全社員と直接顔を合わせるのは不可能ですが、この仕組みによりタイムリーに社員の考えや会社全体の状況を把握するのに役立っているとのことです。アンケートが毎月定期的に行われ習慣化すると、社員側も「今月も自分の意見を発信できる」という安心感を持ち、率直な声を書きやすくなる効果もあります。実際「質問数が少なく手軽なので回答負荷が低く、継続しやすい」という社員の評価も得られており、回答率も高く維持できているようです。
A社ではこのPULSE AIを通じた声を真摯に受け止めつつも、安易に全て鵜呑みにするわけではなく、経営判断として必要なものを取捨選択しています。重要なのは社員の生の声を大切にし、それをどう受け止めて行動するかだと考えており、「全員リーダーシップ」という自社の行動指針にも合致する取り組みとして位置付けています。PULSE AI自体は魔法のツールではないが、使いこなす姿勢が大切というのが担当者の弁で、ツール導入をきっかけに経営層と社員のコミュニケーションが活性化し、長い目で見て組織風土を変える契機になれば嬉しいというコメントが紹介されていました。
このように、エンゲージメントサーベイの結果を経営改善に活かす好循環を作り出すことが肝要です。PULSE AIのようなツールを用いれば、従業員エンゲージメントを定量的に把握できるだけでなく、AIによる分析で人間では気づきにくい傾向を掴むこともできます。例えば同ツールでは直近3か月の回答データから各社員の退職リスクをAIが判定し、高・中・低の4段階で可視化します。実績として退職予兆検知の的中率83%を達成しており、実際に退職してしまう社員を高精度で事前に察知できたとの報告があります。このような分析結果を元に、人事担当者や上司がハイリスク者と面談してフォローする、といった対策につなげることができます。まさにデータ分析を活用したエンゲージメント向上施策の好例と言えるでしょう。
定量的評価と今後の展望
エンゲージメントの指標とデータ分析による定量的評価
従業員エンゲージメントは「目に見えない意欲」を扱う概念ですが、適切な指標を設定しデータを収集・分析することで、その水準や変化を定量的に評価することが可能です。企業が用いる主なエンゲージメント指標には次のようなものがあります。
- エンゲージメントスコア: 従業員アンケートで測定する総合スコア。例えば「自社で働くことに誇りを感じるか」「仕事にやりがいを感じるか」などの設問への回答を集計し、100点満点や5段階評価などで算出します。各チームや部署ごとのスコア比較や、前年との推移を見ることで、どこに課題があるかを把握できます。
- 従業員満足度(ES): エンゲージメントに近い概念ですが、職場環境や福利厚生などに対する満足度を測る指標です。満足度が高いほどエンゲージメントも高まりやすいとされます。ES調査結果もエンゲージメントの参考指標となります。
- 離職率・定着率: 一定期間内に退職した社員の割合(離職率)や在籍継続率(定着率)も、エンゲージメントの間接的な指標です。一般にエンゲージメントの高い職場は離職率が低い傾向があり、逆に離職率が高い場合は職場に何らかのエンゲージメント阻害要因(不満やミスマッチ)がある可能性があります。
- 業績や生産性との相関: 売上高や生産性指標(一人当たり売上・営業利益、KPI達成率など)とエンゲージメントスコアとの相関関係を見る分析も有用です。Gallupの調査によれば、エンゲージメントの高い企業は低い企業より利益率が21%高く、生産性も17%高いというデータがあります。自社でもエンゲージメント上位の部署ほど業績が良いか、といった分析をすることで、エンゲージメント向上の経営的インパクトを定量化できます。
- その他の関連指標: 欠勤率や残業時間、有給消化率、社員の健康指標(ストレスチェック結果)などもエンゲージメントと関連が深いです。エンゲージメントが高まれば欠勤が減り、生産性ロスが減少することが期待できますし、実際エンゲージメントの高い組織では欠勤やムダが減少し業績が向上するとの報告もあります。
エンゲージメント向上施策の効果検証には、こうした指標の改善を追うことが欠かせません。たとえば「フィードバック制度見直し」の施策前後でエンゲージメントスコアが何点向上したか、離職率が何ポイント低下したか、といった具合です。ある分析では、現在のエンゲージメント水準に関わらずエンゲージメントを高めることで退職率低下につながると結論付けられており、改善努力自体が十分意味を持つことが示唆されています。
定量評価のポイントは、継続測定とPDCAサイクルです。エンゲージメントは一度施策を打てば終わりではなく、環境変化や組織改編等によっても変動します。定期的なサーベイやデータモニタリングを続け、結果を分析して対策を講じ、その効果をまた測定するというPDCAを回すことが肝要です。幸い、近年は前述のPULSE AIのように安価で簡便にエンゲージメント測定できるツールが普及してきています。そうしたテクノロジーも活用しながら、データドリブンでエンゲージメント経営を推進する姿勢が求められています。
今後の課題と展望(日本企業の方向性、海外のトレンド)
今後の課題: 日本企業のエンゲージメント向上においては、いくつか乗り越えるべき課題があります。まず、管理職の意識改革です。旧来の上下関係が強い企業文化では、部下のエンゲージメントに配慮したマネジメントが十分でない場合があります。「人材は資本である」という人的資本経営の考え方を管理職一人ひとりにまで浸透させ、部下の声を聞き育成するリーダーシップへの転換を促す必要があります。また、長時間労働やメンタルヘルスの問題も無視できません。せっかく意欲が高くても過労で燃え尽きてしまっては元も子もありません。昨今の調査でも、世界的に見て日本は労働者のストレスレベルが非常に高いことが指摘されています。エンゲージメントと従業員のウェルビーイング(心身の健康)は車の両輪であり、働きがいと同時に働きやすさ・健康にも配慮した職場づくりが求められます。
さらに、日本特有の課題として**「働きがい(意味・意義)の低下」も挙げられます。近年の調査で、日本企業のエンゲージメントスコア自体は緩やかに上昇傾向にある一方で、「仕事のやりがい・意義」を感じている度合いは低下傾向にあるとの報告がありました。働き方改革で残業削減や有休取得は進んだものの、肝心の仕事の意義付けや人とのつながりが弱くなっている可能性があります。この「働きがい」の部分を今後いかに高めていくかが、日本企業のエンゲージメント向上の次なるテーマとなるでしょう。具体的には、企業理念やビジョンを地道に発信し社員と共有すること、部署を超えた人材交流を促進して刺激や学びを生むこと**などが有効とされています。
今後の展望: ポジティブな展望としては、人的資本経営へのシフトに伴い日本企業でもエンゲージメントへの本格投資が進むと期待されます。前述のように2023年から人的資本情報の開示が義務化され、大企業を中心にエンゲージメントスコアの開示やそれを高める施策の報告が増えてきています。株主や求職者からもエンゲージメントが一種の評価指標として見られる時代になりつつあり、企業はこぞって魅力ある職場づくりに取り組むでしょう。中小企業にとっても、人材獲得難の中でエンゲージメント向上は優秀な人材を引き留め、惹きつける武器となります。「うちの会社は社員の働きがいを大事にしている」と胸を張って言える企業が増えれば、日本全体のエンゲージメント率向上にもつながるはずです。
海外のトレンドとしては、引き続きリモートワークとオフィス出社のハイブリッドな働き方が模索され、それに合わせたエンゲージメント施策が発展していくでしょう。全世界的に見ても2022年はコロナ後の景気回復でエンゲージメントが改善した一方、労働者のストレスは過去最高水準にあります。また「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉が示すように、表面上働いていても内心は意欲を失っている社員が多数派だという指摘もあります。こうした中、企業は従業員のメンタルヘルスやワークライフバランスにも配慮しつつ、リモート下でも一体感や目的意識を醸成する工夫を凝らしています。たとえばオンライン上でのチームビルディングイベントやバーチャル表彰、デジタル上でのピアボーナス(社員同士の称賛制度)など、ITを活用したエンゲージメント施策が今後も増えていくでしょう。
最後に、エンゲージメント向上はゴールではなく継続的なプロセスだという点を強調したいと思います。企業を取り巻く環境が変われば社員の感じ方も変わります。景気後退局面ではエンゲージメントの組織業績への影響が一層強まるとも言われます。つまり不確実な時代にこそ、社員のエンゲージメントを高め結束力を強めることが生き残りの鍵となるのです。日本企業がこの課題に正面から向き合い、経営と現場が一体となって働きがいのある職場を作り上げていくことを期待します。それがひいては生産性向上やイノベーション創出につながり、日本全体の競争力強化にも寄与するでしょう。社員の幸せと会社の成長を両立させるエンゲージメント向上戦略は、これからの時代の「勝ち筋」の一つであり、中小企業でも実践可能な具体策からぜひ着手していっていただきたいと思います。
