社内コミュニケーションツールは、組織運営の最適化や業務効率改善に役立つとされています。

しかし、ツールを活用することで得られるメリットや意義・目的を正確に把握できていない人も多いのではないでしょうか。

今回は、社内コミュニケーションツールが組織運営に与える影響を解説します。

実際におすすめのツールや選び方も紹介しますので、気になる方は是非目を通してみてください。

社内コミュニケーションツールとは

社内コミュニケーションツールとは、社員同士の情報共有を円滑にするためのツールです。

チームメンバーへの成果報告、共有すべき事務連絡、トラブルやクレーム発生時の相談などに役立てやすく、オンライン会議やブレインストーミングにも活用されています。

昭和型企業の社内コミュニケーション上の問題

ここでは、従来の社内コミュニケーションが抱える問題点をピックアップします。

自社と当てはまるポイントがないか探り、課題を探っていきましょう。

社内でも律儀なメールコミュニケーションが多い

社内メンバーに対してもクライアントや顧客と接するような律儀なメールコミュニケーションが多く、メール作成に時間がかかる事例が挙げられています。

また、文面自体がどこか他人行儀になりやすく、コミュニケーションに壁ができたり部署ごとの確執を生じやすくなってしまうデメリットも発生します。

役職・年代・部署を超えて率直な意見交換や情報共有をすることが難しくなってしまうため、このような性質が強い企業は社内改革を行うべきだと分かります。

過去のやり取りが記録されない

対面コミュニケーションに依存している場合、やり取りの記録が残らないのもデメリットです。

「言った言わない議論」に発展しやすく、ミスコミュニケーションが生じて業務効率が大きく下がってしまいます。

場合によっては二度手間・三度手間となり時間もコストもロスする恐れがありますので、改善すべき内容だと分かります。

ノウハウやスキルの共有ができない

社内における自分もしくは部署の価値を高く維持したいがために、ノウハウやスキルの共有を積極的に行わないケースも存在します。

部署やチームを超えたコミュニケーションが行われないため属人的な仕事に偏りやすく、異動・退職に伴う引継ぎや新人教育に余計なコストがかかってしまいます。

対応する人員によって商品・サービスの質が変わるなどのデメリットも生じるため、情報共有やコミュニケーションそのものが賞賛される社風を作っていきましょう。

社内コミュニケーションツールを導入するメリット

早速、社内コミュニケーションを導入するメリットや意義・目的を確認していきましょう。

「何のためにツールを使うか」をイメージしながらチェックすることをおすすめします。

組織管理・記録に役立つ

社内コミュニケーションツールを使うことで、コミュニケーションの記録をログとして残せます。

  • どの部署同士のコミュニケーションが活発か
  • 反対に、コミュニケーションが行われにくい部署はあるか
  • 発言が多い(もしくは少ない)社員は誰か
  • いつ誰がどんな発言をしたか

などコミュニケーションの側面から組織を管理しやすく、運営体制を改善するきっかけとなることも多いのです。

業務効率を改善する

社内コミュニケーションツールを使って適切な情報共有が行われることで、業務効率を大幅に改善できます。

特に、部署・役職・年代などのハードルが生じて社員間で情報格差が生まれている場合、ツールの導入が効果的です。

スケジュール・タスクリスト・ガントチャートと連携しているツールを使えば業務の可視化もできるため、より高い効果が得られるでしょう。

社員間のコミュニケーションが円滑になる

時間やシーンを選ばず気軽なコミュニケーションを促進しやすくなります。

「今は話しかけづらい…」

「不在が多く、会話のきっかけが掴めない…」

などのストレスも軽減しやすく、仕事がやりやすくなる効果も期待できます。

結果的に従業員エンゲージメントの向上や退職率低下につながる場合もありますので、社内コミュニケーションツール導入のメリットが分かります。

社内コミュニケーションツールを選ぶポイント3つ

ここでは、自社に合った社内コミュニケーションツールを選定する際のポイントを紹介します。

導入後にミスマッチが生じないよう、検討段階から下記の項目をチェックしていくのがおすすめです。

簡単に使いこなせるUI/UXか

IT知識、デジタル知識のない人でも直感的に活用できるUI/UXか、部署や年代によって使いやすさに差が出ないかなど、UI/UXに配慮しましょう。

誰でも簡単に使いこなせるツールであれば、使用のハードルも下がります。

「導入したはいいが、誰にも活用されないまま放置されている」ということのないよう、使用感は特に重視していくのがポイントです。

デバイスの種類を選ばないか

パソコン・タブレット・スマホなど、使用デバイスの制限がないものが理想です。

外回りの営業、海外出張中の社員など、幅広いユーザーを想定したツール選びを叶えましょう。

今後更に働き方が多様化したりワークライフバランスを重視する人材が増加したりすることを視野に入れ、デバイスや場所を選ばずコミュニケーションできるツールにするのがおすすめです。

既存ツールとの相性がいいか

既に使用しているコミュニケーションツール・オンラインミーティングシステムなどがある場合、連携の可否を調べておきましょう。

コミュニケーションツールのなかにはメール・SNS・LINEなど他のツールやビジネス向けツールと連携できるツールもあるため、汎用性の高さを重視しておくことも効果的です。

特に業務効率の改善や業務の可視化を意識したい場合、既存ツールとの相性は特に見ておきたいポイントです。

社内コミュニケーションツールを導入する際の注意点

次に、社内コミュニケーションツール導入時に注意したいポイントや陥りやすいミスを紹介します。

「こんなはずではなかった」と後悔することのないよう、あらかじめつまづきやすいポイントを探っていきましょう。

情報漏洩やセキュリティに十分注意する

社内コミュニケーションツールは非常に便利ではありますが、時に情報漏洩につながるリスクがあります。

セキュリティに強いツールを使うことはもちろん、使用前に社員教育をしておくことが重要です。

  • いつどんなシーンでの使用を想定しているのか
  • セキュリティ上注意してほしいポイントは何か
  • ツール使用時のルールや社内規則がどうなっているか
  • 万が一情報漏洩が疑われるような際はどのようなフローで報告するか

などの項目をあらかじめ検討し、指導しておきましょう。

対面コミュニケーションの軽視につながらないようにする

社内コミュニケーションツールは、あくまでもコミュニケーションのサポートとして使うものです。

文字ツールばかりのコミュニケーションに偏らないよう配慮し、対面でないと意図が伝わりにくいセンシティブな交渉や謝罪は従来の対面コミュニケーションを重視しましょう。

コミュニケーションツールのみに頼りきらず、状況に応じて臨機応変なコミュニケーションができるよう対策していきましょう。

コミュニケーションツール導入までのステップ

ここでは、コミュニケーションツールを導入するまでの流れを段階ごとに解説します。

スムーズな使用開始ができるよう、イメージしていきましょう。

組織運営上・業務上の課題をリストアップする

導入後にミスマッチが生じないよう、コミュニケーショツール導入の目的やゴールを明確にしておくことが重要です。

  • 何のために社内コミュニケーションツールを導入するのか
  • 自社が抱えているコミュニケーション上の問題は何か
  • それによってどんなデメリットが生じているのか
  • どんな機能をもつ社内コミュニケーションツールであれば問題を改善しやすいか

を検討しておくと、導入後のミスマッチを減らせます。

どんなコミュニケーションツールを導入するか検討する段階でも役立ちますので、必ず取り組みましょう。

どんな機能が要るか検証する

  • チャット機能
  • タスクリスト機能
  • スケジュール管理機能
  • オンラインミーティング機能
  • ガントチャート機能
  • ワークフロー機能

など、どんな機能を活用すれば問題解決に至るかを検証します。

自社が抱える課題の解決と相性がよさそうな機能をピックアップしておけば、ツール選定時の助けとなります。

使用するシーンや人数を検討する

部署・年代・役職・人数など、ユーザーとなる社員の属性をピックアップします。

全社員で活用できるツールにするのか、営業部だけが使うのか、管理本部だけが使うのか、経営層だけが使うのか、など使用のシーンを想定し、導入の規模感を想定しておきましょう。

当初は一部の部署だけに導入しながらも段階的に範囲を拡大していきたい場合、ツール使用料金の比較をすることが重要です。

使用する人数が増える場合、料金も膨らむ可能性がありますので、あらかじめコストとの比較を行いましょう。

複数のコミュニケーションツールを比較する

候補となるコミュニケーションツールを複数比較・検討します。

機能・最大人数(アカウント数)・料金・デザイン性など複数の視点で比較していきましょう。

使用開始までの設定やオンボーディングに不安が残る場合、サポート体制を重視して選ぶのもおすすめです。

無料版を活用して使用感を試す

無料版やお試し期間があれば、限られた範囲だけで試しに使ってみるのもよいでしょう。

実際の使いやすさや使用感を判断する要素となります。

複数のツールを比較する場合や試用後に導入を見合わせることを考え、検討メンバー内でのみ活用するなど、範囲は絞っておくのが理想的です。

社員に通知する

導入するツールが決まり次第、社員に通知します。

メーリングリスト・社内ポータルサイト・グループウェア・掲示・朝礼や会議における口頭伝達など複数の手段を使い、通知していきましょう。

しばらくの間は使いづらい部分や困っていることがないかヒアリングを重ね、丁寧にサポートしていくのがポイントです。

検証・改善を繰り返す

当初の目的が達成されているか、検証・改善を繰り返します。

必要に応じてメンテナンスやルールの見直しを行い、快適な使用ができるようアレンジしていきましょう。

「導入しっ放し」にならないよう注意し、長期的な目線で確認していくことが重要です。

おすすめのコミュニケーションツール7選

最後に、おすすめのコミュニケーションツールを紹介します。

機能や性質がツールによって異なりますので、自社が最も活用しやすいものを選んでいきましょう。

Slack

https://slack.com/intl/ja-jp/

Slackは、世界中で使用されているビジネスコミュニケーションツールです。

2013年8月のサービスリリース以降100ヶ国に広がり、現在は日本語にも対応するようになりました。

マンツーマンコミュニケーションはもちろん、コミュニケーションの範囲やメンバーを選ぶこともできるため、手軽な情報共有を叶えます。

Chatwork

https://go.chatwork.com/ja/

Chatworkは、中小企業向けビジネスチャットです。

メール・電話・訪問など仕事で必要なコミュニケーションをより効率的にするだけでなく、コメントをタスク化できたりビデオ通話に繋げたりする機能も備わっています。

容量制限のないファイル共有もできるため、膨大なやり取りをする際にも便利です。

Microsoft Teams

https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software

Microsoft Teamsは、Microsoft社が運営するoffice365のチームコラボレーションサービスです。

チャット・通話・ビデオ会議・ファイル共有など複数の機能が備わっており、oWord・Excel・PowerPointなどのoffice系ソフトとの連携も可能です。

複数人で1つのデータを同時編集することもできますので、活用していきましょう。

desknet’s NEO

https://www.desknets.com/

desknet’s NEOは、スケジュール管理や業務アプリ作成などの課題を解決できるグループウェアです。

チャットや通話のようなコミュニケーションに特化しているツールと異なり、業務の「見える化」や管理に役立てやすいのが特徴です。

タスクの抜け・漏れに悩む企業と特に相性のいいツールだと言えるでしょう。

サイボウズOffice

https://office.cybozu.co.jp/

サイボウズOfficeは、中小企業向けグループウェアです。

スケジュール共有やワークフローなどの機能が充実しており、情報共有を促進するかたちで社内コミュニケーションの活性化に貢献します。

掲示板やメッセージ機能もあり、グループウェアとコミュニケーションツールのいいとこどりができているサービスだと分かります。

notion

https://www.notion.so/product?_fsi=jDarm7V6

notionは、情報の一元管理に特化している情報共有アプリです。

ドキュメントだけでなくタスクリストやカレンダーなども共有しやすく、社内コミュニケーションを支える機能が豊富です。

2021年8月現在では日本語版のリリースはされておらず、メニューやチュートリアルは英語もしくは韓国語のみ対応しています。

esa

https://esa.io/

esaは、「情報を育てる」という視点で会派圧された情報共有サービスです。

スケジュールやドキュメントの共有はもちろん、ドキュメントを編集しながら複数人で確認できるリアルタイムプレビューやタイトル編集だけでドキュメント整理ができるカテゴリなど独自の機能が備わっています。

検索機能も充実しているため、大量のドキュメントを共有していてもパフォーマンスに影響しづらいツールだと言えるでしょう。

まとめ

組織運営の最適化には、コミュニケーションツールの導入が効果的です。

社員同士のコミュニケーションが正しく行われ、適切な情報共有ができるようになれば、業務効率の改善にも寄与します。

料金・機能・性能・サポート体制を比較しながら、自社が抱える課題を解決してくれそうなツールを選定していきましょう。