「社員は家族」をモットーとするサントリーホールディングスでは、一人ひとりの従業員をとても大切にしています。よって結果的に、社員は仕事のやりがいを感じて、仕事に対するモチベーションが上がるでしょう。
サントリーホールディングスの人材育成やワークライフバランスは、実際に高く評価されており、数々の著名な賞を受賞するほどです。
「社員育成に注力することが、積極的なグローバル化につながる」ことを感じさせるサントリーホールディングスの社風。
そこで本記事では、サントリーホールディングスの従業員エンゲージメントについて解説します。
サントリーホールディングスの概要
まずは、サントリーホールディングスの概要を簡単に把握しましょう。
会社概要と事業内容、沿革、業績推移から、サントリーホールディングスの企業ベースを理解しておきます。
会社概要
初めに、下記の表にて、サントリーホールディングス株式会社(Suntory Holdings Limited)の概要をご覧ください。
創業は1899年と古いサントリーホールディングスですが、設立は2009年と比較的新しいことが分かります。
創業 | 1899年 |
設立 | 2009年2月16日 |
代表取締役会長 | 佐治信忠氏 |
代表取締役社長 | 新浪剛史氏 |
所在地 | 〒〒530-8203 大阪府大阪市北区堂島浜2-1-40 06-6346-1131 |
資本金 | 700億円 |
従業員数 | 40,044人 |
事業内容
サントリーホールディングスの事業内容は、グループ全体に対して、経営戦略の策定や推進を行うことです。また、コーポレート機能も担っています。
沿革
続いて、サントリーホールディングスの沿革を見ていきましょう。
- 1899年:ぶどう酒の製造販売業として、創業者の鳥井信治郎氏が「鳥居商店」の創業
- 1907年:サントリーの礎となる甘味葡萄酒「赤玉ポートワイン」(1973年以降は「赤玉スイートワイン」)の販売
- 1937年:本格的な国産ウイスキー「サントリーウイスキー角瓶」の発売開始
- 1961年:サントリー美術館の開館
- 1963年:「サントリービール」の発売
- 1986年:サントリーホールの開館
- 2003年:環境保全を目的とした「天然水の森」活動の開始
- 2004年:世界初の「青いバラ」開発成功
- 2013年:「サントリー食品インターナショナル」の東証1部上場
業績推移
サントリーホールディングスの業績推移は、コロナウイルス感染症拡大により、一旦2020年度は落ち込んでいます。
しかし、本年2021年度に関する予想売り上げは、ほとんどコロナ禍以前と変わりません。実に、サントリーホールディングスの安定した経営手腕を感じさせられます。
詳細はhttps://www.suntory.co.jp/company/financial/からご確認ください。
経営者の横顔:現会長の佐治信忠氏
次に、現会長である佐治信忠氏について、簡単に確認しておきましょう
サントリーホールディングス創業者である鳥井信治郎氏の孫にあたる佐治氏は、2001年に4代目社長、2014年からは会長職に就任しています。
積極果敢な人物で知られ、ビール事業では「ザ・プレミアム・モルツ」、ウイスキー事業では「白州」の大躍進に貢献しました。
佐治氏は、サントリーホールディングスのスピリットである挑戦精神「やってみなはれ」の復活を促した立役者でもあります。新入社員のアイデアにも耳を傾けるトップである佐治氏のおかげで、サントリーは社員の士気向上に成功しました。
また、佐治氏は創業以来一族経営で続いてきたサントリーに、初めて社外から新浪剛史氏を招くという、大胆な改革も行っています。
ダイバーシティ経営でグローバルに「やってみなはれ」
では、いよいよサントリーホールディングスの社風について見ていきましょう。
ダイバーシティ経営を掲げるサントリーホールディングスでは、性別や年齢・国籍・LGBTQ・ハンディキャップの有無は関係ありません。
ダイバーシティ経営の成果は、実際に、以下のようにデータとしても確認可能です。
- 女性管理職社員の比率は10.5%を占める
- 定年年齢は65歳に引き上げて、ベテラン社員の知識と経験を活用している
- ハンディキャップを持つ従業員は、サントリーホールディングスの2.82%を占める
- 全社員の6割は海外勤務である
全従業員による、とりあえず試してみる「やってみなはれ」の精神が、サントリーホールディングスの更なる発展と新たな価値の創出に結びついていることは確かでしょう。
「人が命」「個に寄り添う」が企業の価値観
次に、サントリーホールディングスの価値観に関して解説します。
サントリーホールディングスでは、それぞれの社員が持つ力を最大限活かすことで、自社の成長を目指しています。そのため、すべての従業員がポジティブに働き、成長できる職場環境の提供に対して、サントリーは努力を惜しみません。
「個々人の力を最大限活かすことが会社の成長につながる」という信念
サントリーホールディングスの信念は、個々人の力を最大限活用することです。そこで、社員の適材適所な配置を行うとともに、あらゆる働き方を認めています。
サントリーの価値観を理解するポイントは、次の3点にまとめられるでしょう。
- 組織全体で個の育成に取り組む
- 従業員のキャリア情報を積極的に収集して活用することで、各々を適材適所に配置できる
- 社員のあらゆる働き方を紹介して、各ポジションに至るまでの過程を教えることで、後輩が築きたいキャリアを見つける手助けをする
「全社員が自立したプロフェッショナルとして、キャリアデザイン」がモットー
全従業員が能力や経験を活かしてポジティブに働くためには、自立したプロフェッショナルとしてのキャリアデザインも効果的です。
サントリーホールディングスでは、2007年にはキャリアサポート室を設置しました。したがって、専門アドバイザーがキャリア面談や世代別のワークショップ、フォロー面談などを行います。
具体的には、「個」に寄り添った経営が鍵です。
つまり、サントリーは各社員がなりたい10年後の姿を把握して、希望の実現に向けた取り組みを提案。社員の配属も、希望に合わせます。
このように、サントリーは一人ひとりの社員による自立したキャリアデザインの結果、新たな価値の創造を目指すグローバルカンパニーです。
「人材育成は社内で」
さらに、実力主義のサントリーでは社内での人材育成に努めています。
そこで、各社員が納得できる正当・公正な評価システムを心がけており、上司と部下は年に4回の面接を行います。加えて、部下は上司からのフィードバックが与えられるため、自分に対する評価の把握が可能です。
全社員がポジティブに働こう
全社員にとってポジティブな職場環境を実現するため、サントリーでは、たとえば下記の人材育成を実施しています。
- 会社・部門横断的なジョブローテーション
- マネージャー相当職を対象とした「サントリーリーダーシップコンピテンシー」
- メンバー相当職を対象とした「考動項目」
「有言実行やってみなはれ大賞」
2015年に創設された「有言実行やってみなはれ大賞」は、世界中のサントリーグループ全従業員が対象です。
挑戦し続ける企業風土の構築・醸成を目標として、斬新な発想に基づくチャレンジ精神にあふれた事を実践したチームを表彰しています。
人事制度は人材育成が主
またサントリーの目標は、それぞれの従業員が向上心を持ち続けて、自己実現できることです。すると結果的に、個々の社員の能力が開発されて発揮できるようになるでしょう。
人材育成を主にするサントリーの人事制度の基盤は、以下の2点です。
- 職能資格制度
一般社員があらゆる経験を積んで成長・発展できることを目標としています。
- 資格・役割制度
資格・役割制度はマネジャー相当職を対象として各々の経験や能力を活かせることを目標
社員として成長しよう
サントリーホールディングスは、数多くの優れた人材育成プログラムを有しています。
しかし、ここでは、特に注目すべき人材育成プログラムを確認しましょう。
人材プログラム | 内容 |
キャリアビジョン | ・マネジャーと人事・従業員が結び付くことで、従業員が申告した職務状況や異動希望をベースとして、個々人に最適な育成と配置を実施 ・可能性の拡大を目的として、入社後約10年間は複数の仕事を経験 |
サントリー大学 | 2015年4月〜 ・サントリーホールディングスがグループ発展するための人材育成プログラムの総称 ・世界一の人材育成を誇れる会社になるべく、社員各々を育成する |
アンバサダープログラム | ・日本国外のサントリーホールディングスで勤める従業員が対象 ・約1週間の講義や視察・ワークショップを通して、サントリーホールディングスへの理解を深める ・帰国後は「アンバサダー」として、プログラムで学んだ内容を周囲と共有 ・Global One Suntoryの醸成を目指す |
サントリー・ハーバードプログラム | ・米国のハーバード大学との提携によって、2019年から始まったプログラム ・日本を含めた、世界中のシニアマネジャー層が対象 ・ハーバード大学で1週間にわたって集合研修 ・グローバルマインドセットの修得や世界のビジネストレンドに対する理解、ネットワークの構築 |
寺子屋プログラム | 世界一の人材育成企業を目指して、学ぶだけでなく、他の従業員との知識の共有を促す |
Global Leadership Forum | ・シニアリーダー層が対象 ・自社の精神への理解を深め、現場での体現者を目指すことなどが目的 |
Beyond Borders | ・シニアマネージャーが対象 ・サントリーホールディングスを牽引するグローバルリーダーの育成が目的 |
Global Leadership Development Program | ・チームリーダー層が対象 ・英国のケンブリッジ大学と連携 ・約半年間におよぶプログラムで、グローバル経営で求められるリーダーシップについて学ぶ |
Most Admired Companiesへの選出・「日経Smart Work大賞」殿堂入り
最後に、サントリーホールディングスのダイバーシティ経営や就労環境は、社外からも非常に高く評価されています。
もちろん従業員からの満足度は高く、2020年の自社調査では次のような結果が出ました。
- 78.1%:仕事にやりがいを感じている
- 66.9%:仕事に満足している
- 約80%がサントリーグループの従業員であることに誇りを感じている
以下は主要な受賞歴ですが、他にも女性やLGBTQの方に対する取り組みに対しても受賞歴があります。
- 米ビジネス誌「FORTUNE」による「Most Admired Companies」賞の飲料・酒類業界部門にて、2019年に日本企業最高位の第4位
- 日経Smart Work大賞の殿堂入り
しかも、サントリーの総合評価は3年連続で5つ星の最高評価、特に人材活用力は高く評価されています。
- 新たな働き方を評価する、東洋経済主催の「プラチナキャリア・アワード」でも優秀賞
- 厚生労働省による「キャリア支援企業表彰2013」では、厚生労働大臣表彰企業に選定
国からも、サントリーホールディングスが取り組む社員のキャリア形成プログラムが評価されていると分かりますね。
まとめ
本記事では、大変高い従業員エンゲージメントを誇るサントリーホールディングスに関して紹介しました。
サントリーの人材育成プログラムは非常に豊富な上に、働き方改革も実現しています。加えて、福利厚生制度も充実しており、サントリーがいかに社員を大事にしているかが伺えるでしょう。
このような全方位で同時多発的な取り組みこそが、サントリーホールディングスの組織風土を育成していると、言えるのではないでしょうか?