こんにちは、パルスアイ代表の安藤です。

先日、とある国の中小企業政策の実施機関から、パルスアイに対して業務委託のお話をいただきました。「中小企業における人材定着・開発上の課題を可視化する調査サービス提供業務」というテーマで、成長性のある中小・中堅企業に対して、組織診断サービス(=パルスアイ)を提供し、人材の定着と開発に関して支援するという内容です。まとまった受注につながる可能性があるので、前向きに検討したのですが、結論としては、辞退することにしました。実施できないことはない内容ではあったのですが、納品物や納期の要求水準が比較的高く、カスタマイズ対応も必要になることから、個別対応業務が増えてしまうリスクを懸念した結果です。
「何を取って、何を捨てるか」という判断は常に難しいものですが、今取り組むべきことにフォーカスしてやっていきたいと思います。

新機能リリース:デザインリニューアル

今月の新機能リリースとして、パルスアイの「デザインリニューアル」を行いました。パルスアイのリリース以降、数多くの機能をリリースしてきましたが、機能ごとのデザインの統一性の向上を図るとともに、画面UIの洗練さを高めることが目的です。また、サイドメニュー領域の開閉ができるようになったので、PC画面が小さい時に、グラフエリアを広げることができるようになり、グラフや表の視認性が高まりました。

(サイドメニュー)

(マイページ)

(アンケート回答ページ)

(モーダル画面)

Deep Research(ディープリサーチ)の破壊力:リサーチャーという職種の消滅

Deep Research(ディープリサーチ)は、ChatGPTの新機能で、調査依頼をプロンプトとして入力すると、数百のオンラインソースを検索・分析・統合し、リサーチアナリストレベルの包括的なレポートを短時間で作成してくれる優れものです。Deep Researchを利用するには、ChatGPT Proに加入する必要があり、月$200(約30,000円)とまぁまぁの費用がかかります。しかし、月額約3万円程度で優秀なリサーチャーを雇うのと同じ効果が得られるとかなり評判になっていまして、私も早速使ってみることにしました。

パルスアイに関係する内容がいいので、「従業員エンゲージメント」に関する以下の7つの質問を投げかけてみました。

その結果、DeepResearchは、32件の情報ソースを参照し、わずか7分で詳細な調査レポート(約10,000字の分量)を作成してくれました。実際の調査レポート内容は、こちらをご参照ください。

私の評価で、このレポートは、一般的なリサーチャーに依頼すれば半日から1日かかる内容であり、品質も十分であると思います。実際のビジネスの現場において、十分に使える(有用な)レベルと言っていいでしょう。これが、わずか10分弱で生成されるのですから、Deep Research(ディープリサーチ)の調査能力は驚異的です。AIが、このレベルの調査を代わりにやってくれるのであれば、社内にリサーチャーは不要になりますし、自分がリサーチする場合でも、Google検索で1〜2時間調べるという作業は、ほぼ不要になりそうです。

Deep Research(ディープリサーチ)が与えるインパクトとしては、まずリサーチャーという職種は、基本的に消滅させられたと言っていいのではないでしょうか。独自の考察を加えられない限り、人がリサーチすることの優位性はほぼないように思います。そして、AIにはできない独自の考察を加えるのはかなりハードルが高いはずで、ほとんどのリサーチャーにとっては難しいでしょう。次に大きな影響を受けるのは、Googleだと思います。人が何かを調べて、知りたいことまとめるのに、今まではGoogle検索を使っていましたが、今後は、Deep Researchに調べてまとめてもらうようになります。そうすると、必然的に、Google検索の回数はグッと減ります。Google社も、そのことは分かっているので、自社の生成AI「Gemini」においても、Deep Research機能をリリースしています。ChromeとDeep Research機能をうまく融合することで、検索回数減の影響を抑えられるかもしれませんが、広告収益に頼っているGoogle社にとっては正念場と言えそうです。

従業員エンゲージメント関連の世界の動き:私の目に留まった記事

勝つためにプレーする:職場での競争の長所と短所

職場で健全な競争を育むことは、従業員のエンゲージメントを高めることができます。たとえば、楽しいコンテストを開催すると、従業員のモチベーションを維持するのに役立ちます。チームが刺激を受ければ、より一生懸命働き、生産性が高まります。また、競争は、従業員が新しいスキルを習得し、自分の役割の範囲を超えることを促します。従業員はやりがいを感じ、それがパフォーマンスの向上につながることがよくあります。(記事より引用・翻訳)

この記事では、職場における競争の利点と欠点、そして職場での健全な競争環境の重要性が説明されています。職場での競争は従業員エンゲージメントや生産性、創造性を高める一方、過度になるとストレスや不正行為、チームの協力低下を引き起こすといいます。健全な競争を維持するには、リーダーが従業員にワクワク感を与え、前向きな環境を構築することが必要であり、不安ではなくやる気を促進する競争が、組織全体の成功につながるとしています。
職場におけるポジティブな競争環境を上手く創り出すことが大切であるという指摘は参考になります。著者は、職場競争の利点は、大きく以下の3つだと整理しています。
1. 従業員のエンゲージメントとモチベーションの向上:職場における健全な競争環境は、従業員を挑戦的な状況に導き、新しいスキルを学んだり、より高いパフォーマンスを発揮する動機付けとなります。競争の中でリーダーシップやイニシアチブを示す人材を特定するのにも役立ちます。
2. 創造性とイノベーションの向上:同僚と競い合うことで、従業員は革新的なアイデアを生み出しやすくなり、組織全体の効率や成果が向上します。GoogleやAmazon、Teslaのような企業が例として挙げられています。
3. 仕事の質の向上:適切に管理された競争は、従業員が目標達成に向けて努力し、結果的に高品質な仕事を生み出します。
昨今、緩い職場環境が若手社員から敬遠されているという話があったりしますが、職場に適度な緊張感を生み出し、社員に競争と成長を促すことはやはり大切です。

企業が長期的な成功のために従業員重視と顧客重視のバランスを取らなければならない理由

従業員はあらゆる組織の生命線であり、従業員の健康は顧客へのサービスの質に直接影響します。したがって、最も賢明な企業とは、これら2つの重要なグループの相互関連性を認識し、両方に投資する企業です。顧客と従業員への焦点のバランスをとることで、企業は顧客満足度と従業員エンゲージメントを高めるだけでなく、財務実績を強化し、回復力を高め、より明るい未来を確保することができます。競争が激しく市場が不安定な時代には、このバランスのとれたアプローチが長期的な成功と存続の鍵となるかもしれません。(記事より引用・翻訳)

この記事では、顧客中心主義に偏りすぎることのリスクを指摘し、従業員と顧客のバランスを重視する重要性が述べられています。顧客満足度を追求するあまり、従業員のニーズが軽視されると、従業員のエンゲージメントやパフォーマンスが低下し、結果的に顧客体験も悪化する可能性が高まります。特に、従業員が過剰な負担を感じたり、自分の役割が軽視されていると感じる場合、離職率が上昇し、組織全体の生産性が損なわれるリスクがあります。そのため、企業は顧客満足度と同時に従業員満足度にも注力し、両者を統合的に考慮する必要があります。具体的には、従業員への適切な権限委譲やフィードバックの活用、職場環境の改善を通じて、従業員が自身の価値を実感できる仕組みを構築することが重要で、このアプローチは長期的な成功につながります。
この記事の著者が指摘する「企業の長期的な成功には、顧客満足度と同時に従業員満足度にも注力し、両者を統合的に考慮する必要がある」という主張は、パルスアイの設計コンセプトに通じるものがあり、深く同意するものでした。CSとESを可視化し、その両方のバランスをとりながら、サービス改善と組織運営の両方を進めていくことが、企業の長期的発展につながるというのは、本当にその通りだと思います。

リーダーシップにおける共感力の力

ギャラップ社の調査によると、従業員のエンゲージメントが高い企業は収益性が 21% 高いことがわかりました。しかし、従業員のエンゲージメントが低いと、世界経済に 8.8 兆ドルの生産性損失が生じ、これは世界の GDP の 9% に相当します。共感力のあるリーダーシップは、信頼、忠誠心、パフォーマンスを育みます。積極的に従業員の意見に耳を傾け、フィードバックを取り入れるリーダーは、従業員が大切にされていると感じられる職場を作ります。(記事より引用・翻訳)

この記事では、リーダーシップにおける「共感力」は、従業員のエンゲージメントを高め、生産性や収益性の向上に寄与すると説明しています。リーダーと従業員の間に断絶があると、業績や企業文化に悪影響を及ぼし、成長やイノベーションの機会を逃すことになるというのです。リーダーは、自身がチームと真のつながりを築いているかを問い直すべきで、共感力のあるリーダーは、コミットメントや協力、パフォーマンスを促進します。例えば、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、「成長マインドセット」を推進し、部門間の壁を取り払い、協力を奨励することで、同社を革新のリーダーへと変革しました。また、ゼネラルモーターズのメアリー・バーラCEOも、従業員とのつながりを重視し、信頼と共感を築くことで、組織の成功を導いています。リーダーが現場のチームとつながりを持つことで、信頼が生まれ、長期的な成長と成功が促進されるということで、これは説得力のある論考だと思います。

質問コーナー

Q. 従業員の登録メールアドレスを再利用するにはどうしたらいいですか?

<質問>
新入社員を新たに登録する際に会社携帯のicloudのアドレスを登録することが多いのですが、前任者と同じアドレスになってしまうことから前任者がパルスアイへの登録があった場合に登録が出来ないことがあります。何か良い方法があればご教授いただけますと幸いです。

<回答>
メールアドレスの重複登録ができないことに対する対応方法ですが、この場合は、配信設定>従業員情報の登録・変更ページにて、前任者のメールアドレスを「nomail」に変更してください。こうすることで、メールアドレスが重複登録されなくなるので、新入社員の方の登録メールアドレスに、前任者の旧メールアドレスを登録することができるようになります。

Q. 配信対象者を後から追加することはできますか?

<質問>
配信対象に加える予定であった従業員について、追加作業を失念してしまい、配信対象にできておりませんでした。エンゲージメントサーベイの回答期間中に、従業員情報を追加することで、追加した従業員に対しては、リマインドメールで回答依頼は送信されますか?

<回答>
当月になって、配信対象者を追加したり、削除することはできません。よって、月初に従業員を追加登録しても、回答依頼メール(リマインドメール)が配信されることはありません。アンケートの回答依頼メールの配信対象者は前月末日時点で、配信設定=配信対象となっている従業員が対象となっています。

Q. 退職リスクは、どのように判定していますか?

<質問>
退職リスク判定において、コンディションおよびエンゲージメントのスコアが高いにもかかわらず、
退職の兆候がでている場合があります。これは、単純にスコアだけで退職リスク判定を行っているわけではなく、その他の要素も加味しているから、という理解でよろしいでしょうか?

<回答>
その通りです。退職リスク判定は、基本的には、エンゲージメントスコアではなく、コンディションスコアが判定のベースとなっています。具体的には、<仕事内容><パフォーマンス><職場の人間関係><健康(十分な睡眠)>の直近3ヶ月分の各スコアを分析し、かつ、<報酬水準>の満足度も加味して、退職リスクを4段階で判定しています。コンディションスコアが高くても、報酬水準について高不満だと退職リスク有りと判定される場合がありますし、逆にコンディションスコアが低くても、報酬水準について高満足だと退職リスク無しと判定される場合があります。

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